生命の不思議、遺伝子。
ちょっと前から遺伝子検査して自分に合ったダイエットやトレーニングをしよう!ということが言われています。
あなたは速筋タイプだから、とか洋梨体型タイプだから・・・みたいな感じです。
最初に結論を言いますが、遺伝子検査は不要と思っています。少なくとも現段階では。
やるのはいいんですが、この検査をしてどうなるのか?
一体あなたは何を知りたいのか?
それが知りたい。
速筋が多いタイプ、と分かったとして、じゃ、ということでパワーリフティングでもしますか?
今さら100m選手になって東京オリンピックを目指すの?
マラソンが趣味なら趣味を短距離に変えるの?
逆に、遅筋が多いタイプと診断されたとして、マラソンを趣味にするのでしょうか?
さて、
ここで超重要な事実を明かします。
遺伝子検査は当てにならない!
えっ・・・・・
本当です!100歩譲ってせいぜい、「何かの参考にしてね」という程度のものです。
例えば・・・
”ACTIN3”という遺伝子があります。遺伝子検査キットでは常連の遺伝子です。
これは速筋の新陳代射を司るのに関係する遺伝子と言われています。
おそらくそれは正しい。色々と検証されているし、正しいのでしょう。
でも(ここからが重要なのですが)それだけであなたが速筋タイプとは決して言えないのです。
速筋タイプでなく、ACTIN3は速筋の代射に”関係する”遺伝子、という、ただそれだけなのです。
確かに、短距離選手にはACTIN3が多いというデータがありますが、ACTIN3だけで決まるわけではありません。長距離選手の中にもACTIN3が多い選手はいるし、短距離の選手の全員がACTIN3が特異なわけではありません。
言うまでもないくらい当たり前のことなんですが、人間の体の機能には、色々な遺伝子が関与しています。
単一の遺伝子がその機能の性質を決めてしまう、ということはほとんどありません。
遺伝子検査キットで○○タイプと診断されたのは、数多くある遺伝子の中の一つが○○タイプに”関係する”遺伝子であったということ。
それだけなのです。
実は他の遺伝子は全く別のタイプの特徴をもっているかもしれません。
どこかの国で国家として選手を育成する前の振るいわけには良いかもしれません。
ハズレが少なくなる、という意味で使える指標でしょう。
分かりやすく簡単に言えば
遺伝子検査とは一部を見て、全部を判断する商品。
紅葉している葉一枚を見て、山全部が紅葉しているだろう、という考えに近いですね。
こういうものが商品として開発され、販売されています。
モノの見方として大事なのはこれは”商品”ということ。
遺伝子検査というモノを売るために、「○○タイプが分かります!」と言っているだけです。
もし正直な販売業者がいて、
「この遺伝子検査をすると、あるタイプに関係する遺伝子の有無や寡多が判明しますが、あなたの体には他にも無数の遺伝子が関わっています。遺伝子一つで機能・性質が決まることはほとんどありませんので、結局のところ何も分かりませんが、話のネタとして面白いので、是非お試しください!1回5000円です。飲み会を1回サボれば検査できます!」
と販売したところで、売れませんよね。
商品として販売して儲けるには、商品としての分かりやすさが必要です。
商品開発、マーケティングの段階で
「この遺伝子があったら○○タイプ。これがあったら△△ってことにしておこう。
これをやったところで何も変わることないし、100人に一人でも役に立てばいいんじゃない?」
という会話がされていたとしても何ら驚きません。
まさか・・・
「えー、世の中にそんなことがあるの!?皆もっといい人ばかりと思っていた!」
なんて思ってませんよね。
他にも色々とツッコミどころのある商品が世の中にはあふれていますが、おおよその商品というのはそういうものですよ!特に夜の通販のトレーニンググッズは!!
ということで、誰か話のネタに遺伝子検査をしてみてください!
そして結果を聞かせてください!!