生まれつきの天才はいるのか?
1990年代のはじめに心理学者のアンダース=エリクソンがある有名な調査を行いました。
ベルリンの有名なアカデミーで学ぶバイオリニストを3つのグループに分けてアンケートを取ったのです。
一つがスターのグループ。これは将来的に世界手なソリストになれる可能背がある学生。
2番目が「優れた」という評価にとどまる学生。
3番目がプロになれそうもない、将来の公立学校の音楽教師候補の学生。
ごの3つのグループに「小さい頃からこれまで何時間練習してきたか?」という質問をしました。
細かいところは省略しますが、結果は・・・
トップクラスの学生の総練習量は1万時間を超えていて、
「優れた」学生のグループは8000時間、
将来の音楽教師グループは4000時間を少し上回る程度、
という結果が出ました。
またエリクソンはプロとアマチュアのピアニストについても調査し、やはり同じような結果を得ました。
アマチュアは子供の頃週に3時間以上は練習しておらず、
逆にプロのピアニストは毎年練習時間が増え、20歳の頃には1万時間に達していた、というのです。
この調査は「生まれつきの」天才はいない、ということが要旨です。
練習せずに一流になった人もいなかったし、その反対に練習したけど一流になれなかった人もいなかった、ということがわかったのです。
1万時間の法則
そして、この調査は「1万時間で一流になれる」というような解釈をされ
1万時間の法則と呼ばれるようになりました。
1日3時間を10年でだいたい1万時間です。
1日1時間なら30年、1日2時間なら15年くらいです。
もちろん、個人差や限界はあるでしょう。
同じ時間練習しても同じ結果を得られるわけではありません。
私が今から1万時間ピアノの練習をしたところで、モーツアルトを超えるようになれないでしょう。
毎日1時間30年間将棋をしても、三十年後にプロの棋士に勝てるとは思いません。
しかし、ピアノでも将棋でも、(今からでも)1万時間やれば、それなりにはできるようになっていると思います。
小さい頃から1日何時間もピアノや他の習い事をやっていれば、おそらく小学校に入るまでには、天才!と呼ばれるようになっていると思います。
しかし、それまでにすでに数千時間も練習してきているわけで、それは決して才能ではない、ということなのです。
空手の世界でも
「千日をもって初心とし、万日をもって極めとする」
ということが言われていました。
要は毎日毎日長い期間稽古しなさい、空手とはそういうものですよ、ということなんです。
実際は才能や運などいろいろなことに左右されるので一万時間やれば本当に一流になれるのか、というと保証はできませんか、かなりいいところまで行くのでは?と思います。
ただし努力する才能や環境が必要ですけどね。。。
あなたは何に1万時間を使いますか?
で、ふと思ったわけですよ。
今、私は44歳ですが、これまで一番時間を使ったことは何だろう。。。と、
あなたはこれまで何に一番時間を使ってきたでしょうか?
私の場合は、よくよく考えると、どうやら体について考える時間が一番長いという結論になりました。
大学の時は、起きている時間のほとんど(と言っても4分の1くらいかな)は強くなることだけを考えていたと思います。
そして社会人になって仕事をしながらも、やはり体のことを考える時間が一番多かった気がします。
18歳で大学に入学してこれまで25年間ちょっとですが、「体のことを考えている時間は」ひょっとしたらそろそろ1万時間になるのかもしれない・・・
あなたは、これまでに何に一番時間を使ってきたでしょうか?
そしてこれから何に時間を費やすのでしょうか?
そして、それは価値があることでしょうか?
たまには歩みを止めて、将来を考えてみるのも良いのではないでしょうか?